Categories
業務上あった話

困ったこと1(境界立会い)

測量~境界立会い

これは私が独立する前に勤めていた測量会社での話です。
今から15年以上前になりますが、元々建設会社で現場監督をしていましたが、建設会社を退職し、測量会社(土地家屋調査士、行政書士事務所も併設)に入社し、1ヶ月ほどして、現場を任された時のことです。 
その現場は、開発及び事前協議がかからない様に1000㎡未満に分筆し、アパートを建設する予定でした。現場は測量地の道路対測は区画整理区域で座標及び境界標も存在し、北側は分譲地4軒でここも境界標が全て存在しており、測量自体は楽だったのですが・・・。
いざ境界立会いの日。
出席者は私の他社員2名、申請地の地主1名、隣接分譲地側地主4名、メーカー(アパート)の営業マン1名、西側地主は別日。
まずは地積測量図のとおり境界標があるのを図面を見せながら地主様の確認を取っていきました。また、営業マンからアパートを建設することの説明もしていたところ、
隣接地主の1人から「アパートはどの様な人が入居するかわからないから建設には反対する」と、その後営業マンと言い合いになりエスカレート・・・。
「アパートを建てられたら日陰になる」とか、何を思ったのか営業マンが「北側の家もお宅の家の日陰になってるじゃないか」と・・・。そんな言い合いがしばらく続き
とりあえず、落ち着くまで見守っていることにしましたが、その地主様は怒りが収らず、他の地主に対し、「絶対にハンコは押すな」と言う始末。ただ、境界については異議は無いとの事はおっしゃってもらえましたので、立会い終了後に自宅に伺い、私たちで謝り、立会い証明書に署名捺印をお願いしましたが、だめでした。
他の地主様も営業マンの態度が気に入らなかったみたいで、更に「ハンコは押すな、といわれてしまっているので」と。
毎日電話で連絡を試みて、また自宅にも訪問し、他の3名の方には何とか立会証明書に署名捺印を頂くことができました。

分筆登記

分筆登記を申請するわけですが、その後も何回か立会い証明書に署名押印をお願いしましたが、取り合って頂けないので、ここまで結構日数を要しているので、時間的余裕も無くなっているわけで、ここからは法務局との相談になります。
通常ですと、分筆登記申請の際には、隣接土地所有者と境界を確認したことを証する書類で、立会い証明書等を添付していますが、地主様を怒らせてしまってその1件分は添付できない状態です。この状態で登記がとおるかは登記官によるところが大きいので、申請前にこれまでの経緯を説明。現地には地籍測量図の通り境界標が設置されていること、立会い証明書に署名押印を頂けないが、境界については異議が無と立会い時におっしゃったことにより分筆が可能かを相談。
結果、今回は1件分の立会い証明書無しで申請して良いとなり良い相談結果となりました。
実際に分筆登記申請をし、無事完了し、胸を撫で下ろしたことを覚えています。

おわりに

これは私が測量会社に入社して初めて任された仕事で、
最初の現場でいきなりトラブルか・・・と思った次第ですが、まあ、これからも色々あるだろうから今回はいい経験ができたと前向きに考え、今後に活かそうと思っていたことを思い出します。
最終的には分筆登記を完了させることでしたが、地主様を怒らせてしまったためにこのようなことになってしまいましたが、ただ、境界については異議がないことが確認できたことが大きかったと思います。まあ、言葉だけなので証明できないですが、事実は事実で、立会い者が全員聞いていましたし、法務局に信用してもらえたことで、登記完了できました。
今後は、地主様の対応を含め気をつけなくてはならないことが山ほどあるなと、いきなり思い知らされた現場でした。